こんにちは、とし(toshi_kaigo_go)です(^^)
『人手不足で仕方ない』、『新人教育に時間が取れない』…。そんな声が聞こえてくる介護現場。
日々、利用者の方々のために尽力されている職員の皆さん、本当にお疲れ様です。
しかし、こうした状況が続くと、業務の質が低下し、ひいては利用者の方々や職員の双方に大きな負担がかかってしまいます。
今回は、業務レベルの低下につながる6つの危うい体質を具体例を交えながら解説し、改善策を探っていきます。
まずは結論から
では詳しく見ていきましょう。
閉鎖的体質
介護現場において、業務レベルの低下が止まらない事業所に共通する危うい体質の一つに、「閉鎖的体質」が挙げられます。
この閉鎖性には、大きく分けて2つの側面があります。
物理的閉鎖性:外部からの視線の届きにくさ
施設の構造や立地など、物理的な環境によって外部からの目が届きにくい状態にある施設は、閉鎖的体質に陥りやすい傾向があります。
- 外部との交流の機会が少ない: 地域との連携や他の施設との情報交換が不足し、新しい情報や視点を取り入れることが難しくなります。
- 問題点の発見が遅れる: 外部の専門家や利用者の家族などから問題点を指摘される機会が少なく、問題が深刻化するまで気づかれないケースも少なくありません。
- 変化への抵抗が強い: 外部の変化や新しい制度に対応するためには、組織全体で柔軟な対応が必要となりますが、閉鎖的な環境では変化を恐れて新しい試みを受け入れにくい傾向があります。
組織内の閉鎖性:独自の常識が生まれる危険性
外部との交流が限られることで、組織内だけで通用する独自の「常識」が生まれ、それが固定化してしまうという問題も発生します。
- 古い慣習にとらわれる: 一度確立されたやり方や考え方が絶対視され、新しい方法やアイデアが受け入れられにくくなります。
- 問題意識の低下: 同じような状況が長く続くと、問題意識が薄れ、改善しようとする意欲が失われてしまいます。
- 人材の育成が難しくなる: 外部から新しい人材が入りにくく、組織内のマンネリ化を招き、人材の育成が難しくなります。
閉鎖的体質がもたらす影響
閉鎖的な体質は、以下のような様々な悪影響を及ぼします。
- サービスの質の低下: 新しい情報や視点を取り入れることができないため、利用者に最適なサービスを提供することが難しくなります。
- 職員のモチベーション低下: 古い慣習にとらわれ、新しいことに挑戦する機会が少ないため、職員のモチベーションが低下し、離職につながる可能性も高まります。
- 組織全体の活性化の阻害: 組織全体が硬直化し、変化に対応できなくなることで、組織全体の活性化が阻害されます。
改善策のヒント
- 外部との交流を積極的に行う: 地域の介護事業所との連携、外部の専門家からのアドバイス、職員の研修など、外部との交流を積極的に行うことが重要です。
- 新しいアイデアを積極的に取り入れる: 職員からの意見を積極的に聞き、新しいアイデアを試し、改善を続ける姿勢が大切です。
- 定期的な評価と改善: サービスの質や職員の働き方などを定期的に評価し、改善点があれば積極的に改善していくことが重要です。
相互無批判的体質
危うい体質の2つ目は、「相互無批判的体質」が挙げられます。
これは、いわば「見て見ぬふり」の体質であり、組織内に問題が生じているにも関わらず、それを放置したり、指摘することを恐れたりして、誰もが問題解決に向けて動かない状態を指します。
なぜ「見て見ぬふり」が蔓延してしまうのか?
当初は少数の職員から始まった不適切な働き方が、周囲に広がり、やがて組織全体に蔓延してしまうケースがよく見られます。
その背景には、以下のような要因が考えられます。
- 恐怖心: 上司に叱責されることや、人間関係が悪化することを恐れて、問題点を指摘できない。
- 同調圧力: 周りの人たちが問題を黙認しているため、自分も声を上げにくい。
- 責任転嫁: 問題が発生した場合、責任を問われることを恐れて、責任の所在を曖昧にする。
- 無関心: 問題意識が薄れており、問題点に気づいていても、それを改善しようという意欲がない。
相互無批判的体質がもたらす影響
相互無批判的体質は、組織に様々な悪影響を及ぼします。
- 問題の隠蔽: 問題が表面化せず、放置されることで、問題が深刻化する可能性があります。
- サービスの質の低下: 不適切な行為が放置されることで、利用者に不利益をもたらす可能性があります。
- 職員のモチベーション低下: 問題点を指摘しても改善されないという経験を繰り返すことで、職員のモチベーションが低下し、離職につながる可能性があります。
- 組織全体の信頼の失墜: 組織全体の信頼が失われ、利用者や関係機関からの信頼を得ることが難しくなります。
相互無批判的体質を改善するために
相互無批判的体質を改善するためには、以下の取り組みが重要です。
- 心理的安全性の確保: 職員が安心して意見を言えるような雰囲気づくりが大切です。
- 問題提起を奨励する風土づくり: 問題を発見し、改善することを積極的に評価する風土を醸成します。
- 匿名での意見箱の設置: 職員が匿名で意見を提出できるような仕組みを導入します。
- 定期的な振り返り: 定期的に組織全体の状況を振り返り、問題点があれば改善策を講じます。
マンネリに陥りやすい体質
閉鎖的で相互無批判的な体質が根強く残る組織では、容易に「マンネリに陥りやすい体質」へと発展します。
これは、組織が変化を恐れ、常に同じやり方を繰り返すことで、利用者本位の視点が失われ、職員主導型の業務遂行に陥ってしまう状態を指します。
なぜマンネリ化が起きるのか?
マンネリ化が起きる主な原因としては、以下の点が挙げられます。
- 業務のルーチン化: 同じ業務を繰り返し行うことで、業務がルーチン化し、改善の必要性を感じにくくなります。
- 新しいアイデアの阻害: 新しいアイデアや意見が出にくい雰囲気になり、変化を恐れる風潮が生まれます。
- 職員のモチベーション低下: 同じような作業の繰り返しで、職員のモチベーションが低下し、仕事に対する意欲が失われてしまいます。
- 利用者のニーズの変化に対応できない: 利用者のニーズは常に変化しているにも関わらず、それに対応できず、サービスの質が低下する可能性があります。
マンネリ化がもたらす影響
マンネリ化は、組織に以下のような悪影響を及ぼします。
- サービスの質の低下: 利用者のニーズの変化に対応できず、サービスの質が低下し、利用者の満足度が低下します。
- 職員の離職率の上昇: 職員のモチベーション低下や成長の機会の不足が、離職率の上昇につながります。
- 組織の衰退: 組織全体の活力が失われ、競争力を低下させ、組織の衰退を招きます。
マンネリ化を脱却するために
マンネリ化を脱却するためには、以下の取り組みが重要です。
- PDCAサイクルの導入: 業務を計画し、実行し、評価し、改善するというPDCAサイクルを導入することで、継続的な改善を促します。
- 職員の意見を聞き入れ、新しいアイデアを積極的に取り入れる: 職員の意見を聞き入れ、新しいアイデアを積極的に取り入れることで、組織に活力を与えます。
- 研修や勉強会の開催: 職員のスキルアップを図るための研修や勉強会を定期的に開催します。
- 外部からの視点を取り入れる: 外部の専門家や他の施設との交流を通じて、新しい視点を取り入れます。
他の体質との関連性
マンネリ化は、閉鎖的体質、相互無批判的体質、リーダーシップの欠如など、他の危うい体質と深く関連しています。これらの体質が複合的に作用することで、組織はますます硬直化し、変化に対応できなくなります。
暗黙のルールに基づく業務スタイルに陥りやすい体質
マンネリ化と並んで、組織の活性化を阻むのが「暗黙のルールに基づく業務スタイル」です。これは、明文化されていない暗黙の了解や慣習によって、組織の運営が規定されている状態を指します。
なぜ暗黙のルールが生まれるのか?
暗黙のルールが生まれる背景には、以下の要因が考えられます。
- 歴史的な経緯: 組織の歴史の中で積み重ねられてきた経験や慣習が、暗黙のルールとして定着してしまうことがあります。
- 人々の関係性: 組織内の個人的な関係性や人間関係によって、暗黙のルールが形成されることがあります。
- 変化への抵抗: 新しいルールを導入することに対する抵抗感から、暗黙のルールが維持されることがあります。
暗黙のルールがもたらす影響
暗黙のルールは、組織に以下のような悪影響を及ぼします。
- 新人の育成が困難: 暗黙のルールは、新人に伝えられにくいため、新人の育成が困難になります。
- 組織の柔軟性の低下: 暗黙のルールに縛られることで、組織が変化に対応できなくなり、柔軟性が失われます。
- コミュニケーションの阻害: 暗黙のルールが共通認識として共有されていない場合、コミュニケーションが円滑に行われず、誤解が生じる可能性があります。
- 不正行為の温床: 暗黙のルールが不正行為を助長する可能性があります。
暗黙のルールを打破するために
暗黙のルールを打破するためには、以下の取り組みが重要です。
- 暗黙のルールを可視化: 組織内の暗黙のルールを洗い出し、可視化します。
- マニュアルの作成: 暗黙のルールを明文化し、マニュアルを作成します。
- コミュニケーションの活性化: 職員間のコミュニケーションを活発にし、意見交換を促進します。
- 新しいルールへの挑戦: 古いルールに固執せず、新しいルールを導入し、組織の活性化を図ります。
他の体質との関連性
暗黙のルールに基づく業務スタイルは、閉鎖的体質、相互無批判的体質、マンネリ化など、他の危うい体質と深く関連しています。これらの体質が複合的に作用することで、組織はますます硬直化し、変化に対応できなくなります。
問題意識が希薄な体質
暗黙のルールに縛られ、マンネリ化した業務を繰り返す組織では、次第に「問題意識が薄い体質」へと発展していきます。
これは、日々の業務に対して疑問を持つことをせず、現状に満足し、改善しようとする意欲が低い状態を指します。
なぜ問題意識が薄れてしまうのか?
問題意識が薄れてしまう背景には、以下の要因が考えられます。
- 変化を恐れる心理: 新しいことに挑戦することや、現状を変えることを恐れる心理が働きます。
- 責任回避: 問題を発見した場合、責任を問われることを恐れて、問題を無視してしまうことがあります。
- 楽観的な思考: 問題はいつか誰かが解決してくれるだろうという楽観的な思考が働きます。
- 忙しさに追われる: 日々の業務に追われ、問題意識を持つ余裕がない状態が続きます。
問題意識が薄いことがもたらす影響
問題意識が薄い組織では、以下のような問題が生じます。
- サービスの質の低下: 利用者のニーズの変化に気づかず、サービスの質が低下します。
- 顧客からのクレーム増加: 問題点が放置されることで、顧客からのクレームが増加します。
- 職員のモチベーション低下: 問題意識を持って仕事に取り組むことができないため、職員のモチベーションが低下します。
- 組織の衰退: 組織全体の競争力が低下し、組織の衰退を招きます。
問題意識を高めるために
問題意識を高めるためには、以下の取り組みが重要です。
- 利用者の視点に立つ: 日々の業務の中で、常に利用者の視点に立ち、何が求められているのかを考えます。
- 改善点を見つけ出す: 業務の中で改善点を見つけ出し、積極的に改善策を検討します。
- PDCAサイクルの導入: 計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルを導入し、継続的な改善を促します。
- 目標設定: 個人やチームで目標を設定し、達成に向けて努力します。
- 情報共有: 職員間で情報を共有し、意見交換を行うことで、新たな視点を得ることができます。
他の体質との関連性
問題意識が薄い体質は、閉鎖的体質、相互無批判的体質、マンネリ化など、他の危うい体質と深く関連しています。これらの体質が複合的に作用することで、組織はますます停滞し、衰退へと向かいます。
固定観念に基づく誤った業務スタイルに染まりやすい体質
問題意識が希薄な組織では、容易に「固定観念に基づく誤った業務スタイル」が定着します。これは、科学的根拠や客観的なデータに基づかず、個人的な思い込みや偏見によって業務を行ってしまう状態を指します。
なぜ固定観念が生まれるのか?
固定観念が生まれる背景には、以下の要因が考えられます。
- 経験則への過度な依存: 過去の経験や慣習に固執し、新しい情報や知識を取り入れることを拒みます。
- 情報収集不足: 最新の知識や情報を積極的に収集せず、古い情報に基づいた判断をしてしまいます。
- 偏見やステレオタイプ: 利用者や状況に対して、根拠のない偏見やステレオタイプを抱き、そのイメージに合わせた対応をしてしまいます。
- 変化を恐れる心理: 新しいやり方や考え方を試すことを恐れ、現状維持を優先します。
固定観念がもたらす影響
固定観念に基づいた業務スタイルは、組織に以下のような悪影響を及ぼします。
- サービスの質の低下: 利用者の個々のニーズに応じた適切なサービスを提供できず、サービスの質が低下します。
- 人権侵害: 固定観念に基づいた対応は、利用者の人権を侵害する可能性があります。
- 組織の評判低下: 固定観念に基づいた行為が外部に知れ渡ると、組織の評判が低下し、信頼を失う可能性があります。
- 職員の成長の阻害: 固定観念に縛られることで、職員の成長が阻まれ、組織全体の活性化が妨げられます。
固定観念を打破するために
固定観念を打破するためには、以下の取り組みが重要です。
- 多様な意見を取り入れる: さまざまなバックグラウンドを持つ職員の意見を聞き入れ、多角的な視点から問題を捉えます。
- 根拠に基づいた判断: 過去の経験だけでなく、最新の研究成果やデータに基づいた判断を行います。
- 研修の機会提供: 職員に対して、専門知識やスキルを習得できる研修の機会を提供します。
- 客観的な評価: 業務内容や成果を客観的に評価し、改善点を明確にします。
他の体質との関連性
固定観念に基づく誤った業務スタイルは、閉鎖的体質、相互無批判的体質、マンネリ化、問題意識が薄い体質など、他の危うい体質と深く関連しています。これらの体質が複合的に作用することで、組織はますます硬直化し、衰退へと向かいます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
以上、介護事業所の業務レベル低下につながる6つの危うい体質について解説してきました。
- 閉鎖的体質: 外部との交流が少なく、組織内に独自の常識が生まれる。
- 相互無批判的体質: 問題点を指摘せず、見て見ぬふりをしがち。
- マンネリに陥りやすい体質: 変化を恐れ、常に同じやり方を繰り返す。
- 暗黙のルールに基づく業務スタイル: 明文化されていないルールに従い、柔軟な対応ができない。
- 問題意識が薄い体質: 現状に満足し、改善しようとする意欲が低い。
- 固定観念に基づく誤った業務スタイル: 科学的根拠に基づかず、個人的な思い込みで業務を行う。
これらの体質が複合的に作用することで、組織全体の活性化が阻まれ、利用者へのサービスの質が低下する可能性があります。
改善に向けて
これらの問題を解決するためには、組織全体で意識改革を行い、以下の取り組みを進めることが重要です。
- 開かれた組織づくり: 外部との交流を促進し、新しい情報やアイデアを取り入れる。
- 問題意識の醸成: 問題を発見し、改善しようとする風土を醸成する。
- 変化を恐れず、新しいことに挑戦する: マンネリ化を防ぎ、組織の活性化を図る。
- 透明性の高い組織づくり: 暗黙のルールをなくし、ルールを明確化する。
- 客観的な視点に基づいた業務: 科学的根拠に基づいた判断を行う。
- 人材育成: 職員のスキルアップを図る。
これらの取り組みを通じて、組織全体の質の向上を目指していくことが重要です。
読者の皆様へ
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が、あなたの職場での課題解決の一助になれば幸いです。ぜひ、ご意見やご感想をお聞かせください。
今後も、介護の現場で起こる様々な問題について情報を発信していきますので、ご期待ください・
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